ふるさと納税をしたあと、「自分は確定申告が必要なのか、それとも不要なのか」と迷う人は多い。
ふるさと納税の税控除を受けるためには、所定の手続きを行う必要がある。手続きを間違えると、本来受けられるはずの控除が適用されない可能性もある。
ふるさと納税の控除を受ける方法は、「確定申告」と「ワンストップ特例制度」の2種類だ。どちらを利用するべきかは、寄附先の自治体数や自身の状況によって異なる。
この記事では、確定申告が必要な人・不要な人の判断基準をわかりやすく整理し、ワンストップ特例との違いや手続きの流れ、必要書類までまとめて解説する。
ふるさと納税の基本的な仕組みや控除上限額についてはふるさと納税入門2026もあわせて参考にしてほしい。
【結論】確定申告が必要な人・不要な人
まず結論から整理する。
確定申告が不要な人
以下の条件をすべて満たす場合は、ワンストップ特例制度を利用することで確定申告は不要だ。
- 給与所得者(会社員・パート・アルバイト)で、年収2,000万円以下
- 寄附先の自治体が5自治体以内
- 医療費控除など、他の理由で確定申告をしない
- ワンストップ特例の申請書を翌年1月10日までに提出している
確定申告が必要な人
以下のいずれかに当てはまる場合は確定申告が必要だ。
- 自営業・フリーランスなど、もともと確定申告が必要な人
- 給与収入が年2,000万円を超える会社員
- 寄附先の自治体が6自治体以上
- 医療費控除や住宅ローン控除(初年度)などのために確定申告をする人
- ワンストップ特例の申請期限(翌年1月10日)に間に合わなかった人
「自分はどちらに当てはまるのか」が分かったところで、次章からワンストップ特例と確定申告の違いを見ていこう。
ワンストップ特例と確定申告の違い
ふるさと納税の控除を受ける方法は2種類あり、それぞれ仕組みと手続きが異なる。
| 項目 | ワンストップ特例 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 対象者 | 条件を満たす給与所得者 | ワンストップ特例を利用しない人、または利用できない人 |
| 手続き先 | 各寄附先の自治体 | 税務署(e-Tax含む) |
| 期限 | 翌年1月10日必着 | 原則として翌年の確定申告期間 |
| 控除方法 | 住民税から控除 | 所得税の還付+住民税の控除 |
| 寄附先 | 5自治体まで | 上限なし |
控除の仕組みが異なる点に注意
ワンストップ特例では、ふるさと納税による控除額が翌年度の住民税から差し引かれる。一方、確定申告では一部が所得税として還付され、残りが翌年度の住民税から控除される。控除される総額は原則として同じであり、違うのは控除の反映方法とタイミングだ。
どちらを選ぶべきか
条件を満たしているなら、ワンストップ特例の方が手続きはシンプルだ。確定申告の経験がない会社員でも利用しやすい。ただし、医療費控除を受ける場合や寄附先が6自治体以上になる場合などは、確定申告が必要になる。次章以降で、確定申告が不要な人と必要な人を具体的に見ていこう。
確定申告が不要な人
2章の結論で触れたとおり、一定の条件を満たす会社員はワンストップ特例を使うことで確定申告が不要になる。ここではその理由と条件をもう少し丁寧に整理する。
なぜ会社員はワンストップ特例が使えるのか
会社員は毎年の給与から所得税が源泉徴収され、年末調整によって税額が精算される。もともと確定申告が不要な立場であるため、ふるさと納税のためだけに確定申告をしなくてもいいよう設けられたのがワンストップ特例制度だ。
寄附先の自治体に申請書を送ることで、自治体が納税者の住所地の市区町村に通知し、翌年度の住民税から自動的に控除される仕組みになっている。
ワンストップ特例が使える4つの条件
- 給与所得者であること(年収2,000万円以下)
- 寄附先の自治体が5自治体以内であること
- 医療費控除や住宅ローン控除(初年度)など、他の理由で確定申告をしないこと
- 各寄附先の自治体に申請書を翌年1月10日までに提出すること
4つの条件をすべて満たしている場合に限り、確定申告は不要だ。1つでも当てはまらない場合はワンストップ特例は使えないため、確定申告で対応する必要がある。
パートやアルバイトも対象になるか
給与所得者であれば、正社員に限らずパートやアルバイトもワンストップ特例の対象になる。ただし、給与以外の所得がある場合や、複数の勤務先から給与を受け取っている場合などは、別途確定申告が必要になるケースがある。自身が確定申告の対象になるか不安な場合は、勤務状況や所得状況を確認しておこう。
自分の控除上限額が分からない場合は、ふるさと納税入門2026のシミュレーターで確認しておこう。
確定申告が必要な人(5パターン)
以下のいずれかに当てはまる場合、ワンストップ特例は使えないため確定申告が必要だ。自分がどのパターンに該当するか確認してほしい。
パターン1 自営業・フリーランスなど、もともと確定申告が必要な人
給与所得者ではなく、事業所得や不動産所得がある人はもともと確定申告が必要だ。ワンストップ特例は給与所得者向けの制度のため利用できない。確定申告の際にふるさと納税の寄附金控除をあわせて申告すればよい。
パターン2 給与収入が年2,000万円を超える会社員
給与収入が2,000万円を超える場合、年末調整の対象外となり確定申告が必要になる。そのため、ワンストップ特例の対象外だ。確定申告でふるさと納税分の寄附金控除も申告する。
パターン3 寄附先の自治体が6自治体以上
ワンストップ特例は寄附先が5自治体以内の場合のみ利用できる。6自治体以上に寄附した場合は全額について確定申告が必要になる。たとえば「5自治体まではワンストップ特例で、6自治体目だけ確定申告」という分け方はできないため注意したい。
パターン4 医療費控除や住宅ローン控除(初年度)などで確定申告をする人
医療費が多くかかった年や、住宅ローンを組んだ初年度は確定申告が必要になる。この場合、ワンストップ特例の申請をしていても確定申告でふるさと納税の寄附金控除もあわせて申告しなければならない。ワンストップ特例の申請は無効になるため、確定申告側で対応する必要がある点に注意したい。
パターン5 ワンストップ特例の申請期限に間に合わなかった人
申請書の提出期限は寄附した翌年の1月10日必着だ。この期限を過ぎてしまった場合、ワンストップ特例は利用できなくなる。ただし、確定申告で寄附金控除を申告することは可能だ。申請期限に間に合わなかった場合は、翌年の確定申告で対応しよう。
ワンストップ特例を申請したのに確定申告が必要になるケース
ワンストップ特例の申請を済ませた後でも、状況が変わって確定申告が必要になることがある。その場合、ワンストップ特例の申請は無効になり、確定申告側でふるさと納税の寄附金控除をあわせて申告しなければならない。
ケース1 医療費控除を受けることになった
年間の医療費が一定額を超えた場合、医療費控除のために確定申告をする人がいる。この場合、ワンストップ特例の申請済みであっても、確定申告でふるさと納税の寄附金控除も忘れずに申告する必要がある。ワンストップ特例は自動的に無効になるため、申告しなければ控除が受けられない。
ケース2 住宅ローン控除の初年度に該当した
住宅ローン控除は初年度のみ確定申告が必要だ。2年目以降は年末調整で完結するが、初年度に確定申告をする場合はふるさと納税の寄附金控除もあわせて申告する必要がある。「ワンストップ特例を申請したから大丈夫」と思い込んで申告を忘れるケースが多いため注意したい。
ケース3 副業などで確定申告が必要になった
年の途中から副業を始め、給与以外の所得が発生して確定申告が必要になった場合も同様だ。確定申告をする以上、ワンストップ特例は無効になるため、ふるさと納税分も確定申告に含める必要がある。
共通の注意点
いずれのケースも「ワンストップ特例を申請済みだから自動的に控除される」とはならない。確定申告をする際は、寄附金受領証明書など申告に必要な書類を手元に用意して申告漏れのないようにしたい。
確定申告で必要な書類
ふるさと納税の確定申告をする際に必要な書類を整理しておく。
| 書類 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 寄附金受領証明書 | 寄附先の自治体から送付される | 紛失した場合は自治体に再発行を依頼 |
| 源泉徴収票 | 勤務先から発行される | 会社員・パートの場合 |
| マイナンバーカードまたは通知カード+身分証 | 本人確認書類 | e-Taxではマイナンバーカードのみ対応 |
| 医療費の領収書など | 他の控除を申告する場合 | 該当する場合のみ |
寄附金受領証明書について
寄附先の自治体から送付される書類で、寄附金控除の申告に必要だ。ふるさと納税サイト(さとふる・ふるなびなど)によっては、マイナポータルと連携することで電子的な証明書を利用できる場合もある。いずれも申告前に手元に揃えておくことが重要だ。
源泉徴収票について
会社員の場合、勤務先から毎年1月頃に交付される。給与収入や源泉徴収税額を確認するために利用する。紛失した場合は勤務先に再発行を依頼しよう。
確定申告の手順
ふるさと納税の寄附金控除を確定申告で申告する手順を説明する。現在はe-Taxを使ったオンライン申告が一般的だ。
手順1 必要書類を揃える
7章で整理した書類を事前に揃えておく。寄附金受領証明書は自治体ごとに届くタイミングが異なるため、すべて揃ったことを確認してから手続きを進めよう。
手順2 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスする
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスする。e-Taxを使う場合はマイナンバーカードとICカードリーダーまたはスマートフォンが必要だ。
手順3 申告書を作成する
画面の案内に沿って収入・所得・控除の情報を入力する。ふるさと納税の寄附金控除は「寄附金控除」の欄に入力する。寄附先の自治体名・寄附金額・受領証明書の情報をもとに入力しよう。
手順4 申告書を提出する
e-Taxの場合はオンラインで送信する。書面の場合は税務署への持参または郵送で提出する。
手順5 控除の反映を確認する
確定申告後、所得税の還付は数週間〜1ヶ月程度で指定口座に振り込まれる。住民税の控除は翌年6月以降の住民税決定通知書で確認できる。
よくある勘違い
Q. ワンストップ特例と確定申告は併用できる?
できない。どちらか一方のみ利用できる。ワンストップ特例を申請した後に確定申告をした場合、ワンストップ特例は無効になる。確定申告側でふるさと納税の寄附金控除を申告する必要がある。
Q. 6自治体目だけ確定申告すればいい?
そうはならない。6自治体以上に寄附した場合は、すべての寄附について確定申告で申告する必要がある。「5自治体分はワンストップ特例、6自治体目だけ確定申告」という分け方はできない点に注意したい。
Q. ワンストップ特例を申請したら何もしなくていい?
申請書を提出するだけでは不十分なケースがある。申請後に医療費控除などで確定申告が必要になった場合は、ワンストップ特例が無効になるため確定申告での申告が必要だ。また申請書に不備があった場合も控除が受けられないことがある。
Q. 控除額が減ることはある?
控除上限額を超えた寄附をした場合、超えた分は控除の対象にならない。自分の控除上限額を事前に把握したうえで寄附額を決めることが重要だ。上限額は年収や家族構成によって異なるため、シミュレーターを活用して確認しておこう。
控除上限額の目安を知りたい人は、シミュレーターで確認してから寄附額を決めるのがおすすめだ。
まとめ
ふるさと納税の確定申告が必要かどうかは、自分の状況によって判断する必要がある。
条件を満たす会社員であればワンストップ特例を利用することで確定申告は不要だ。一方で、自営業者・高収入会社員・6自治体以上に寄附した人・他の控除で確定申告が必要な人は、確定申告でふるさと納税の寄附金控除もあわせて申告する必要がある。
また、ワンストップ特例を申請済みでも、その後に確定申告が必要になった場合はワンストップ特例が無効になる点には注意したい。
手続きの判断に迷ったときは、まず「自分はもともと確定申告が必要な立場か」「寄附先は5自治体以内か」の2点を確認することから始めるとよい。
自分の控除上限額を確認したい人はふるさと納税入門2026のシミュレーターも活用してほしい。iDeCoとの併用についてはふるさと納税×iDeCo併用テクニックもあわせて参考にしてほしい。副業とふるさと納税の関係については副業とふるさと納税も参考にしてほしい。
※本記事は制度の概要を解説することを目的としており、個別の税務判断については税務署や税理士などの専門家にご相談ください。

