「企業型DCとNISA、どっちを優先すべきですか」という質問をよく見かけます。
自分の経験から思うのは、「完璧に理解してから始めよう」と先延ばしにするより、最低限の仕組みを理解したうえで早めに動いた方がいい、ということです。
自分は2018年に企業型DCを始め、2021年につみたてNISAを始めました。2026年現在、企業型DCとは8年以上、NISAとは5年以上付き合っています。
ただし、最初から計画的に運用していたわけではありません。むしろ企業型DCを始めてから最初の3年間はほとんど何も理解しないまま放置し、つみたてNISAを始めた後も、しばらくは企業型DCに目を向けられていませんでした。
この記事では、そんな自分の実体験を振り返ります。うまくいったことだけでなく、「もっと早く知っておけばよかった」と思う失敗も含めて書いていきます。
これから企業型DCやNISAを始める人、すでに始めているけれど「このままでいいのかな」と感じている人にとって、一つの参考になれば嬉しいです。
2018年、企業型DCを始めたときの話
企業型DCを始めたのは2018年1月、会社に入社したタイミングでした。
正直、当時は「企業型DC」が何なのか、ほとんど理解していませんでした。入社手続きの一環として書類にサインし、会社が用意した初期設定のまま運用が始まった、という感覚に近いです。
「老後のための積み立て制度らしい」「税金の優遇があるらしい」という程度の理解しかなく、自分で商品を選ぶという意識もありませんでした。会社から渡された資料に目を通しはしたものの、専門用語が並んでいて、正直よく分からないまま「とりあえず初期設定のままでいいか」と流してしまいました。
今思えば、これが最初のつまずきでした。
3年間、初期設定の商品をほぼ放置していた話
企業型DCでは、初期設定のまま「コアラップS(分散投資コア戦略ファンドS)」というバランス型の商品で運用していました。
当時の自分は商品の中身をほとんど理解しておらず、「大きく増えない代わりに、大きく減ることもない商品」くらいの感覚でいました。
そのため、「このままで別にいいか」と3年近く放置していました。毎月の給与明細で企業型DCの掛金が拠出されているのは見ていましたが、それがどう運用されているのか、増えているのか増えていないのか、正直あまり気にしていませんでした。
今振り返ると、この期間が一番もったいなかったと感じています。長期投資では、運用期間を長く取ることが大きな意味を持ちます。それなのに自分は、自分に合った運用商品なのかを考えることなく、その「時間」を過ごしてしまいました。
もちろん、最初から株式中心の商品を選んでいれば必ず利益が出ていたとは限りません。それでも、自分のリスク許容度に合った商品をきちんと比較して選んでいれば、資産を増やす機会をもっと活かせた可能性はあります。
「値動きを抑えた商品を選ぶ」という判断自体は間違いではありません。ただ、自分の場合はリスクを考えたうえで選んだのではなく、「何も分からないから、とりあえず初期設定のままにした」だけでした。
自分で考えて選んだ結果ではなかった、というのが正直なところです。
2021年、つみたてNISAをきっかけに考え方が変わった話
企業型DCを始めてから約3年半が経った2021年9月、つみたてNISAを始めました。
きっかけは正直、はっきりとは覚えていません。周りで投資の話を聞く機会が増えたのか、何かの記事を読んだのか、そのあたりだったと思います。
ただ、つみたてNISAについて調べる過程で、初めて「インデックスファンド」「複利」「リスクとリターンの関係」といった、長期投資の基本的な考え方に触れることになりました。
そこで選んだのが、S&P500に連動するインデックスファンドでした。月3万円をつみたてNISAの枠で積み立てる設定にしました。
このとき初めて、「自分で商品を選ぶ」という経験をしました。
企業型DCのときは会社の初期設定に乗っただけでしたが、つみたてNISAでは自分でネット証券を選び、口座を開設し、商品を比較して選ぶ、という一連の作業を自分でやりました。
ただし、正直に言うと、このときはまだ「企業型DCも見直そう」というところまでは意識が向いていませんでした。つみたてNISAという新しい制度を始めたことで頭がいっぱいで、企業型DCのことは相変わらず後回しのままでした。
企業型DCの商品を見直した話(全とっかえの経緯)
つみたてNISAを始めてからも、企業型DCへの関心はすぐには戻りませんでした。実際に企業型DCの商品構成を見直したのは、つみたてNISAを始めてから2年半以上が経った2024年のことです。
きっかけは、特別なタイミングというよりは「たまたま気になった」という程度のものでした。つみたてNISAの運用状況を見ているうちに、ふと「そういえば、企業型DCは今どうなっているんだろう」と思い出した、という感覚に近いです。
久しぶりに企業型DCの管理画面にログインしました。始めてから約6年、ほとんど中身を意識してこなかった画面です。
確認してみると、思っていたほど運用資産は増えていませんでした。
つみたてNISAを通じて「複利」や「リスクとリターン」についてある程度理解していたこともあり、「こんなに長い期間、自分では何も考えずこのままにしていたのか」とかなりショックを受けました。
そこで、企業型DCの商品構成を大きく見直すことにしました。
それまで100%「コアラップS(分散投資コア戦略ファンドS)」で運用していたところから、「三井住友・DC外国株式インデックスファンドS」を90%、「野村新興国株式インデックスファンド(確定拠出年金向け)」を10%という配分に変更しました。
当時は、それぞれの過去の運用実績や信託報酬などを比較し、自分ならより株式比率を高めて運用したいと考えて、この配分を選んだ記憶があります。
さらに、それまで積み立ててきた分についてもスイッチング(保有商品の入れ替え)を行いました。今後の掛金の配分だけを変えたのではなく、すでに積み立てていた資産についても、新しい商品構成へ入れ替えた形です。
まさに、自分の中では「全とっかえ」に近い見直しでした。
企業型DCは、会社の制度で用意された商品の中から運用先を選びます。そのため、NISAのように市場にある投資信託から自由に選べるわけではありません。
それでも、用意されている商品の中身を比較してみると、信託報酬や投資対象、値動きの大きさなどにはかなり違いがあります。自分はこのとき初めて、「企業型DCも自分で運用商品を選ぶものなんだ」と実感しました。
正直、「もっと早く見直していれば」という後悔はあります。つみたてNISAをきっかけに投資の基本的な考え方を学んでいたにもかかわらず、それを企業型DCにすぐ結びつけられなかったのは、自分の中でも少し意外な空白期間でした。
今振り返って思うこと
2018年から2026年の今までを振り返ると、企業型DCとNISAについて、特に「もっと早くやっておけばよかった」と思うことが3つあります。
1つ目は、最初の3年間を「よく分からないまま」過ごしたこと
企業型DCを始めた時点で、もう少し調べる時間を作っていれば、3年間ほとんど何も考えずに運用することはなかったと思います。当時は「会社が用意した制度だから、とりあえず任せておけば大丈夫だろう」という感覚がありましたが、実際の企業型DCは、用意された商品の中から自分で運用先を選ぶ制度でした。
制度を完璧に理解する必要はなかったとしても、「どんな商品で運用されているのか」くらいは確認しておくべきだったと思います。
2つ目は、つみたてNISAをもっと早く始めなかったこと
自分がつみたてNISAを始めたのは2021年ですが、制度自体は2018年から始まっていました。
つまり、企業型DCを始めた2018年の時点で、つみたてNISAについても知っていれば、もっと早く投資を始める選択肢はありました。
もちろん、2018年から始めていれば必ず利益が出ていたとは限りません。それでも、自分は結果として約3年間、長期投資に使えた時間を使わなかったことになります。
3つ目は、つみたてNISAを始めた後も、企業型DCの見直しまで時間が空いてしまったこと
つみたてNISAを始めた2021年の時点で、すでに「インデックスファンド」や「複利」といった基本的な考え方には触れていました。それなのに、その知識を企業型DCの見直しに結びつけるまで、さらに2年半以上かかっています。
一つの制度で学んだことは、他の制度にもすぐ応用できるはずなのに、当時の自分はそれができていませんでした。これは、単に忙しかったというより、「企業型DCは企業型DC、NISAはNISA」と、頭の中で別々のものとして切り離してしまっていたからだと思います。
ただ、今さらこれらの期間を悔やんでも戻ってくるわけではありません。重要なのは、「もっと早くやればよかった」で終わるのではなく、気づいた時点から行動を変えることだと思っています。
これから始める人へのメッセージ
この経験を振り返って、これから企業型DCやNISAを始める人、すでに始めているけれど放置気味の人に伝えたいことがあります。
完璧に理解してから始めなくていい
自分が企業型DCを始めたときのように、最初から制度を完璧に理解している必要はないと思います。むしろ、完璧に理解しようとして先延ばしにするより、最低限の仕組みを理解したうえで、少しずつ動き始める方がいいです。
ただし、始めた後は一度は中身を確認してほしい
自分の一番の反省は、始めた後に長期間ほとんど確認しなかったことです。
長期投資だからといって、値動きを見て頻繁に商品を入れ替える必要はありません。それでも、自分が何に投資しているのか、なぜその商品を選んでいるのかは、定期的に確認しておいた方がいいです。
年に1回でもいいので、自分の運用状況を確認する時間を作るだけでも違うと思います。
一つの制度で学んだことは、他の制度にもすぐ活かしてほしい
自分はつみたてNISAで学んだ「複利」や「リスクとリターン」の考え方を、企業型DCの見直しに結びつけるまで2年半以上かかってしまいました。
NISAと企業型DCは制度としては別物ですが、根底にある「長期・積立・分散」という考え方は共通しています。どちらか一方で学んだことは、もう一方にもすぐ当てはめてみてほしいです。
「よく分からないからそのまま」ではなく、「よく分からないから調べる」
自分は最初、商品の中身をほとんど理解しないまま、会社の初期設定の商品で運用を続けていました。
問題だったのは、その商品自体ではなく、自分で考えて選ぶことすらしていなかったことだと思います。
よく分からないなら、まずは商品の投資対象や信託報酬などを調べてみてください。それだけでも、自分に合った選択肢を考えやすくなります。
きっかけは何でもいい
自分の場合、最終的に企業型DCを見直すきっかけになったのは、「たまたま気になった」という些細なことでした。
きっかけは些細なことでいいと思います。ただ、そのきっかけをできるだけ早く掴むために、日頃から「そういえば自分は何に投資していたんだっけ」と思い出す機会を、意識的に作っておく方がいいと今は思っています。
まとめ
企業型DCとNISA、どちらを優先すべきかという問いに、明確な正解はないと思います。
自分の場合は、2018年に企業型DCを始め、2021年につみたてNISAを始めました。最初の3年間はほとんど何も理解しないまま企業型DCを放置し、つみたてNISAを始めた後も、実際に企業型DCの商品構成を見直すまでにはさらに2年半以上かかっています。
振り返って思うのは、完璧に理解してから始める必要はないが、始めた後に「一度も確認しない」期間を長く作ってしまうのはもったいない、ということです。
この記事のポイントをまとめると次のとおりです。
- 企業型DCは、会社が用意した商品の中から自分で運用商品を選ぶ仕組み
- 「よく分からないからそのまま」ではなく、「よく分からないから調べる」姿勢が大切
- 一つの制度で学んだ考え方は、他の制度にもできるだけ早く活かした方がいい
- 完璧な理解を待つより、最低限を理解して早めに動き、後から知識を深めていくという考え方もある
もし今、企業型DCやNISAを「なんとなく」設定したままにしている人がいたら、一度、自分が何に投資しているかを確認してみてください。それだけでも、自分の資産形成について考え直すきっかけになるかもしれません。
NISAの始め方については新NISAの始め方完全ガイド、企業型DCとNISAの優先順位で迷っている人はNISAと企業型DC、どちらを優先?もあわせて参考にしてください。
※本記事は筆者個人の体験に基づくものであり、投資の成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

